東洋医学「気」「血」「津液(しんえき)」「五臓六腑」「陰陽バランス」
娘
「気」「血」「津液(しんえき)」ってどうやって働いているの?
お父さん
「気」「血」「津液」はそれぞれ単独で働いているのではなくてお互いに影響し、協調関係を保って働いているんだよ。
「気」の推動(臓腑の働きや血の流れを促進する)と気化(気や血や津液などを相互に変化させたり、津液を汗や尿
に 変化させたりする)作用は血が作られたり代謝させたりするのに欠かせないんだよ。
また飲食物の栄養分である水穀の精微*1から血を作るには「気」の気化作用が働いているんだよ。
「血」が体内をスムーズに巡ることができるのは「気」の推動作用によるんだよ。さらに「血」が不必要に外に漏れるこ
とがないように「気」の固摂作用*2が働いているんだよ。
娘
「気」が一方的に「血」を助けてるってこと?
お父さん
そうじゃないよ。
「血」は「気」に栄養を与え経脈中に運び、「気」の作用が全身に届くように調節しているんだよ。
「気」は「血」と共に全身に運ばれて初めて身体の各部の活動を支えることができるんだよ。
娘
「津液」は?
お父さん
「津液」は「血」以外のすべての体液のことを指すんだよ。一番重要なのは全身を潤すことだね。関節を滑らかに動か
したり髪や肌をつややかにしているんだね。「津液」が作られたり代謝されたりするのにも「気」の働きが欠かせな い
んだ よ。「津液」が作られるのには「気」の気化作用が、代謝には「気」の推動作用が関わっているね。また「気」の固
摂作用 は「津液」が不必要に外に漏れるのを防いでいるんだね。
「津液」は「気」が全身に行きわたるように「気」を乗せて運ぶ乗り物のような役割をしているんだよ。「血」と「津液」は
共に水穀の精微から作られ、「津液」は「血」の成分の一部でもあるんだよ。だから汗のかきすぎなどで「津液」が不足
すると「血」の不足にも繋がってしまうね。
*1 飲食物の消化によって胃で生成され脾で運ばれる滋養物質のこと
*2 「血」「津液」などの液状物質が通路を外れないようにする作用
東洋医学ではどんな状態を健康というのか?
娘
東洋医学ではどんな状態を健康っていうの?
お父さん
西洋医学では血液検査などの値が正常範囲内におさまっていれば健康だとされているね。
でも東洋医学では検査の値は参考にはするけど重要としているのは免疫力は抵抗力の元である「正気」の充実だ ね。
そのために①「気」「血」「津液(しんえき)」の補充や代謝が十分であること②「五臓六腑」の働きが順調であること③
「陰陽のバランス」がとれていることが大事だね。
娘
「気」「血」「津液」って何?
お父さん
「気」「血」「津液」は人体をを構成し生命を保つための基本的な物質とされているんだよ。
娘
「五臓六腑」の働きは?
お父さん
「気」「血」「津液」を作り、その補充や代謝を行うのが「五臓六腑」の働きなんだよ。だから「五臓六腑」が順調に働け
ば「気」 「血」「津液」は充実してそれによって正気も充実するんだよ。
娘
じゃあ「五臓六腑」がきちんと働かないと「気」「血」「津液」が作れないってこと?
お父さん
そうだね。「五臓六腑」はお互いに助け合って働いているから一つの臓腑の働きが悪くなると関連する別の臓腑の調
子も悪くなっちょうよね。このような働きを見ても東洋医学がバランスを重視している理由がわかると思うな。
娘
陰陽のバランスってのは?
お父さん
陰陽論は世の中のあらゆる物を陰と陽に分け、対立する関係としたものだよ。例えば、上と下、夏と冬、熱と寒、昼と
夜とかね。
一日の場合で見ると真昼に陽が一番強くてそこからだんだん陽の勢いが弱り、真夜中になると陰が一番強くなる。そして夜明け
が近くなるにつれ陰が弱くなり再び陽の勢いが強くなっていく。身体の中でも同じことが起きていると考えられているんだよ。
娘
どんなふうに?
お父さん
例えば陽が強すぎると身体が熱っぽく、陰が強すぎると身体が冷え、その状態が続くと病気になりやすくなってしまうね。
本来「陰陽のバランス」は人に備わっている機能なんだよ。例えば夏には身体の内部の陽が強くなりすぎないように
汗をかいたり、冬には汗腺を閉じて陽が弱くならないように調節したりね。
娘 そーか。 だから「陰陽のバランス」が崩れちゃうと身体の調子が悪くなっちゃうんだね。